九州の山々を巡る(4) 阿蘇山
4日目 5/1(土)
3座目は阿蘇山へ。前日の祖母山の疲れもあるかと思ってロープウェイを使うことを考えていたが、なんとなく仙酔峡ロープウェイ側の方が良さそうなのでそちらを使うことに。ユースホステルを出て仙酔峡道路へ入っていくと、何とも言えない緑の起伏が広がっており、今まで見たことのないような景色。ところどころに牛がゆっくりと歩いていたりして、運転しながらもなんだか感動してしまった。晴れ渡った空の下、正面には阿蘇山が見える。早出して登りは徒歩で、下りはロープウェイというコースも当初は考えていたのだが、楽々コースの往復ロープウェイ使用にするつもりだった。しかしロープウェイ山麓駅に着いてみると、仙酔峡尾根(通称バカ尾根)が一直線に高岳の方へ続いており、とても気持ちよさそうに見える。どうしてもそちらを登ってみたくなり、同行の2人はロープウェイ、自分はバカ尾根を登ることにして、バカ尾根が稜線へ出るところで待ち合わせをすると決めて別れた。
コースタイム通り登ると、ロープウェイ駅から待ち合わせ地点までの時間を考えても自分の方が後になるので、急ぎに急いだ。火山ならではのボコボコした岩をひたすら登る。丹沢にもバカ尾根があるが(大倉尾根のこと)、そことは違って振り返れば阿蘇市内が一望でき、右に目をやれば仙酔峡が一望できる(と言っても一面荒野だが)という気持ちのいい尾根である。途中、息が切れ始めた頃に追い抜いたカップルがいい雰囲気だったので、二人の後ろ姿を絡めて何枚も写真を撮ってしまった。
少なく見積もっても20人抜きぐらいしてコースタイムの3分の2の時間で登り切ったが、同行の二人はまだ来ていなかったので、そのまま高岳を目指す。しばらく山頂で待っていたら2人が来たので合流し、元来た道へ。宿のペアレントさんが、高岳の東峰からの景色が素晴らしいがガイドブックに載っていないので誰も行かないのだ、と言っていたので、そちらへ行ってみる。確かに高岳の混雑ぶりと比べ、人が少ない。しかし、山頂付近は広くて気持ちがよく、その上根子岳の全体を見渡せ、確かにペアレントさんの言うとおりであった。
聞いてみれば同行の2人も仙酔峡尾根を見ていたらそこを歩きたくなったということであったが、色々あって自分とN氏はロープウェイで、T氏は徒歩で下山ということになった。もう一度高岳を経由して仙酔峡ロープウェイの山頂駅を目指す。特に難しい道はない。阿蘇山ロープウェイの方を見ると、噴煙が上がっていた。
舗装路のところまで来ると、硫化水素の匂いがプーンと漂ってきて、少し気持ち悪くなりそうだ。道の斜面側には噴火に備えた退避壕がいくつも立てられていた。ないよりはマシなのだろうが、いざという時この退避壕はどう役にたってくれるのだろう? ロープウェイの山頂駅は大きめの退避壕?と思わせるほど無骨な作りで、しかも老朽化しているようでコンクリートがはげ落ちているところもある。中もやけに広いわりには何もなくてがらんとしており、阿蘇山ロープウェイとの人気の違いが見える。とはいえ、修学旅行か何かの中学生が大人数でワイワイ騒いでおり、手のつけられない喧騒ぶりだ。ロープウェイの職員が「静かにしてください!」と叫んでも聞こえないらしく、全く静かにする気配なし。自分が中学生の頃も、こんなんだったよなーと思いながらニヤニヤしてしまった。ロープウェイの乗り場の方を見ると、ちょうど到着するところ。窓口の方をチラッと見てみたら、なにやらハンドルを回してロープウェイの速度を調節しているようだ。自動運転なのかと思ったら、意外にも手動で速度を調整しているのか!思わず改札口からカメラを突っ込んで撮影してしまった。下りのロープウェイからの景色は、仙酔峡尾根から見たのとさほど変わりはない。端から見るとすごく低速に動いているように思えたが、乗ってみるとそれなりの速さだ。眼下にはロープウェイ下の道を下る登山者が見えた。
帰りは途中のコンビニに寄って牛乳を買い、フルーチェを作って食べたのだが、そのコンビニの前からは、阿蘇山と根子岳が一望でき、感慨に浸ることもできた。フルーチェを食べ終え、内牧温泉の「阿蘇の湯」に寄って一風呂。
本来であればレンタカーの乗り捨てができればよかったのだが、格安レンタカーを使ったため必ず借りたところに返さなくてはならない。次の霧島は宮崎県で、その後の開聞岳を考えると熊本で借りた車をそのまま使うのは効率が悪いので、一旦熊本へ戻った。帰りの道は渋滞しており、予定より少し遅れてレンタカーを返却。営業所の若いおにいちゃんは阿蘇出身だそうで、「阿蘇はなんにもないでしょ」と笑っていた。このお兄ちゃんに限らず、どこに行っても人々はなまりのある言葉で気軽に話しかけてくれ、旅の気分を感じることができた。
熊本への車中、初日に食べられなかった熊本ラーメンをなんとか賞味できないものかと色々探してみたところ、レンタカー店からバスに乗る通町筋への乗換駅付近に、美味しいお店があると分かった。しかし、食べログの評価は高いのだが、どうも怪しい。レビューには好意的なコメントが多い割にはそれらは「熊本へ遊びに来た友達は連れていかない」とか「近所の飲んだくれが昼間から酒を飲んでおり、店の衛生状態もよくない」という言葉で締めくくられている。あまりに気になるのでその店へ行ってみた。水前寺駅近くの「味乃文化城」(名前からして怪しい)という店。外観は、まあこのくらいならあるかな、という程度。しかし、入り口のドアを開けてみれば、レビューの通りお酒を飲んでるおじさんおばさんが数人。ドキドキしながら席に着くと、客のおじさんの一人がコップに水を持ってきてくれた。そのコップも、日本酒の色がついてしまった茶色いガラスのコップ。この時点では、失敗だったかな…と思った。店は野球帽をかぶった小柄なおばさんが一人でやっているようで、ラーメンセットを頼むと厨房を行ったり来たりしながら一人で全部作ってくれた。出てきたラーメンを見ると、なかなか美味しそう。食べてみると、豚骨の濃厚な味に香ばしさが加わって、いかにも熊本ラーメンな味で、美味しかった。600円でラーメンにご飯と卵と冷奴と高菜がついているなんて安すぎ。お腹いっぱいで店を出た。
通町筋からバスに乗り、鹿児島へ。鹿児島に着いたのはもう23時を回っていたので、すぐにホテルへ向かった。今回の旅で最も(金額的に)豪華なのが、この鹿児島での2泊。東横イン1泊5000円。1人一部屋でベッドがあるなんて! バスの中でビールで乾杯したこともあってか、部屋に入るとすぐに眠りについてしまった。
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