登山の誕生―人はなぜ山に登るようになったのか
人々がなぜ登山を始めたのか、どのように広まって行ったのかが、前半はヨーロッパを中心にして、後半は日本を対象に書かれている。色々と新しい発見があって面白かったが、簡単にまとめ。
ヨーロッパ
- 当初はどちらかというと、悪魔が住む場所として恐れられた
- 例外的にユダヤ教では、神の宣託を受けるためとしてシナイ山などへの登山が行われた
- ルネサンス以降、登山の記録が徐々に出始める
- 宗教改革後、科学的な思考が芽生え、地質や植物など山岳の調査研究が始まる
- 18世紀、詩人などが山の美しさを説き始め、一般にも登山が広まり始める
- 19世紀、アルプスを対象にし、金の時代と呼ばれる初登頂の争い。この頃は主にガイド付き
- その後、同じくアルプスのバリエーションルート開拓が始まり、銀の時代と呼ばれる。ガイドレス登山が増える
- 第二次大戦後、ヒマラヤが舞台に
- 現代に至って、各種先鋭的な登山
日本
- 縄文時代から登山していたのではと推測される発掘物
- 自然崇拝の信仰の対象として山があり、登山もよく行われていた
- 各地で信仰登山が行われていた
- 万葉集に登山する様子を含む歌が複数あったことから、平安時代から普通に登られていたものと思われる
- 伝来した仏教と山岳信仰が結びついた修験道ができ、山岳修行が行われた
- 行者たちにより次々と高山が開かれる(槍ヶ岳など)
- 富士講や御嶽講などにより一部の山では信仰登山がさらに盛んに
- 江戸後期には物見遊山的な登山も
- 明治に入り、日本山岳会が発足し、趣味としての登山も
- その一方、測量のための登山も盛んに行われた
- 1910頃から、学生らによる登攀など先鋭的登山、海外遠征
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