飯豊連峰縦走 4日目(8/10)



4日目の朝は暗いうちから起きだし、朝食の準備。朝焼けに染まる杁差岳を眺めながら出発の準備をする。みんな翌日まで休みを取っていたが、その日のうちに東京に着いてしまいたいので、なるべく早く出発する必要があった。



飯豊連峰には避難小屋しかなく、その中でもかなり小さい方だが、水の豊富さといい、杁差岳の眺望といい、頼母木小屋はよい小屋だった。出発してからは、一旦小屋から高度を下げるが、ずっと杁差岳を眺めながらの歩きになる。



途中、大石山の分岐にザックをデポしてサブザックに切り替え、杁差へ向かう。前日に小屋の管理人さんから頂いたいいちこの紙パックをシャレで標識の上に置いて1枚。さすがに標識の上には置いていかなかったが、デポしたザックの上にちょこんとパックを載せておいた。



杁差への道はやはり花が咲き乱れており、徐々に日が高くなるにつれてその花が日に照らされ、さらに美しく見える。



と、花を楽しみたいところなのだが、鉾立峰への登りは結構な斜度で、なかなか手ごわい。途中、杁差小屋に宿泊した人たちが次々と下山してきてすれ違う。この山行の間ずっと同じルートをたどってきた人たちもおり、お互い笑顔を交わしながら別れる。これも山の楽しみというものだ。一人、夏山にも関わらずピッケルを持参したおじさんがいて、なんで夏山でピッケル?とみんなで顔を見合わせあったが、このおじさんに関連して後で色々と起きるのだ。



鉾立峰への登りは急だが、振り返ると晴れ渡った空の向こうに飯豊本山が見え、思わず声をあげてしまう。



鉾立峰を超えて杁差の頂上へ近づくと斜度はゆるくなり、またお花畑になる。御西小屋の管理人さんに言われた通り、盛りは過ぎているのだろうが、それでも色とりどりの花が咲き乱れていた。特にマツムシソウが多く、雑草の緑の中に淡い紫の花の色がとても映える。



4日間の縦走の最後を飾る山として、杁差岳は最高の展望を見せてくれた。南側を眺めれば3日間歩き続けてきた稜線が全部見える。飯豊本山からはどれが杁差岳かは判然としなかったが、逆に杁差から見てみれば、飯豊本山は高くはないもののぴょこんと頂上が尖って意外に分かりやすい。



反対側には権内尾根が続いており、そのまま縦走してしまいたい気分。



頂上では、縦走の終わりが近づいていることを感じて複雑な思いを持ちつつ、たっぷり時間をかけてコーヒーを楽しんだ。

下りは杁差小屋に立ち寄ったが、頼母木小屋よりも収容人数は多く、しっかりした小屋だった。山自体が素晴らしいので、トイレが整備されていない(汚い)のと水場が遠い(急坂をかなり下る)のが惜しい。





色々な花に目を奪われながら、いつまでも山の上にいたい気持ちで徐々に高度を下げていく。大石山でデポしたザックを回収すると、そこからは足の松尾根の急坂が始まる。



途中から眺望は全くなくなってしまうのだが、ブナ林はとても美しく、ふと眼をあげると緑が目に優しい。しかし、かなりの急坂がひたすら続く。しかも、木の枝が縦横無尽に走っており、結構歩きづらい。また、途中岩場もあったりしてなかなか一筋縄ではいかない道だ。こちらから登らなくてよかったと胸をなでおろしつつ、慎重に歩く。





さすがに奥胎内ヒュッテに着いた時は、やっとこの山行が終わったのだ!という気持ちでいっぱいで、満足感が湧きあがる。



4日間の縦走でだいぶ軽くなったザックを下ろしてから、奥胎内ヒュッテの広い風呂につかり、おいしい松花堂弁当を食べて人心地に戻る。素晴らしい山から離れたくない気持ちでいっぱいになりながら、タクシーで胎内駅へ向かう。そこからは電車と新幹線を乗り継いで、あっという間だ。文明の利器の便利さを感じる瞬間だった。

個人的には、久しぶりの長期の自炊での避難小屋&テント山行ということで、行く前に全く不安でなかったというわけではない。しかし、素晴らしい天気に恵まれ、楽しい仲間と一緒で、そして何より飯豊連峰という素晴らしい山で夏を過ごせて本当に楽しかった。この山行は確実に2010年で一番思い出に残るだろう。

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